2012年9月26日水曜日

震災で消えた小さな命展…14



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(ナリサワギャラリー展示風景)


石巻市での展示が24日までで終わりました。
パート1でもお世話になり、今回もまた趣旨を深く理解してくださっている
ギャラリーの方のおかげで開催できたと聞きました。
本当に感謝したいです。ボランティアの方たちへも。


 パート2で、私は2つの作品を出させていただいたのですが、
そのうちの1つが、石巻に住んでいらっしゃるかたからのご依頼でした。
Yちゃんという白いマルチーズの男の子です。
お借りした1枚の写真から、本当に無邪気に、あふれるような愛情を
家族から受けているように感じられました。
だから、そんな笑顔を描きたいと思いました。


 家族の方とお会いしたうささんから聞きました。
本当に、いつもいつもYちゃんと一緒に過ごし、寝るのも一緒、
ちょっと買い物へお出かけするのも一緒だったと。
絵の中のYちゃんを、何度もなでていってくださったと。


 参加して良かった、と改めてかみしめています。





2012年9月20日木曜日

月の山の思い出



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(夜明け・吾妻連峰から山形蔵王方面)
先月末、久しぶりに山に登って無人の避難小屋へ泊まってきました。
木の実や葉が屋根に落ちる音にさえドキッとする静寂に、全身が耳と化したようなあの感覚は本当に久しぶりでした。峰からどーんと生えた天の川や、夜明けに眺める紫の雲海も。


 秋のお彼岸に入ると、ある山を思い出します。
山形県の月山です。穏やかな山容が魅力で、様々な季節に訪れている山の一つでした。
十数年前の9月初旬。遅い夏休暇をもらい、私は月山を訪れました。
無人の小屋で夜を過ごし、秋の花が咲くゆるやかな下山道をたどり、情緒ある肘折温泉へ下るルートです。さすがに長い道のりで、温泉へたどり着いた頃には半分足を引きずるくらい疲れていました。
 最初に尋ねた、木造の趣きある湯治宿で運よく空き室があったので、素泊まりさせていただきました。(貧乏旅行でしたので、基本的に温泉は自炊・素泊まりです。)
 襖一枚でへだたるお隣から、すっと手が伸びてきて「日本で一番早く食べられるリンゴをあげるぞ!」青森から湯治にやってきた老婆がダンボール箱からリンゴを分けてくれました。
 老婆は「青森以外では食えねえぞ。一番のりだからな。」とお国自慢をしていました。
確かにその当時、9月初めにリンゴはあまり出回っていなかったと思います。
「ありがとうございます。」といただいたものの、満腹で食べられなかったので、
こっそりとリュックにしまいました。 
 翌日、肘折温泉の湯花をお土産に買い、福島県の奥会津地方に一人で暮らしている祖母の家に寄り道をしました。
すると祖母は珍しく風邪気味で食欲がなく、胃腸も不調だとのこと。
「なんだか、なにものどがとおらねえんだよ。」と嘆く祖母に、私はリュックにしまっていた
『日本で一番早いリンゴ』をすりおろしてあげました。
「リンゴなんかまだ売ってねえものなあ、ああ、これならのどとおるわ。」
祖母は、嬉しそうに食べてくれました。
 そして私が帰る時、とっくに社会人になっている私に『おこづかい』を差し出すのです。
辞退する私の手に無理やり持たせて。
「風邪ひいてたときに、きてくれてうれしかったから、今回は特別だ。」
 

 祖母はその2週間後に亡くなりました。持病の動脈溜による急な死。彼女が日ごろ仏様にお願いしていたのがかなったかのように、突如ぽっくり空に昇ってしまったのです。
ちょうど、その年の中秋の名月の日、秋の彼岸の最中でした。

 
 無人小屋で月山を思い出し、『日本で一番早いリンゴ』と温泉、そして大好きだった祖母を思い出すこの季節。
「中秋の名月、今年は何日だろう。」
と、私は暦を探します。もらった『おこづかい』は未だに使えず、大切にとってあります。




2012年9月15日土曜日

震災で消えた小さな命展…13



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(仙台 エレクトロンホール展示風景)

今回もたくさんのボランティアの方たちに支えられて、
仙台での展示が始まりました。
多くの人たちの心に、動物たちの声が届きますように…。




2012年9月1日土曜日

震災で消えた小さな命展…12



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(柏 ハックルベリーブックス展示風景)

柏市のハックルベリー・ブックスで昨日まで開催していました。
搬入出作業・会場係に携わってくださった方たち、本当に有難うございます。

パソコンが不調で、この日記を書けずに9月を迎えてしまいましが、
私は26日に会場へ伺いました。
小さなあたたかい本屋さんに、たくさんの命がひしめいていました。

いよいよ今月は東北の被災地へ、彼ら動物たちが飼い主さんたちと
再会する旅に出ます。