(岩手県・幽玄洞)
石灰岩土壌の地下には、複雑な鍾乳洞が多いです。
私は昔から洞窟が大好きでした。初めて訪れたのはあぶくま洞(福島県)で、小学校低学年の頃だったかと思います。日本国内はもちろん、海外旅行先でも、
鍾乳洞があると聞くとつい訪れたくなるのでした。
ミルク色のひだや、垂れ下がるツララのような岩は、触れずに見ていると
やわらかい物体に思えました。雨水にとけて長い年月をかけて再び固まったそれらの岩を眺めると、なんとも言えない不思議な気持ちになります。
石灰岩地形は、地下も地上も魅力があるのです。溶解しやすいのに風化に強い石灰岩は、地上に面白い形の岩を残してくれるのです。
中国の桂林や石林は、広範囲に見飽きない風景が広がっていて大興奮でした。
「石灰岩がそんなに好きなんて、前世に石灰岩に生息する生き物だったんじゃないの?」
と友人に笑われたことがありました。
それはどうだかわかりませんが、いつか自分の体内のカルシウムも、この地球に堆積する石灰岩の一部になるのでしょう。そして果てしない時間の後、地殻変動などで陸地へ移動して洞窟として出現するかもしれません。
その時、洞窟を歩いているのは今の私たちと同じ人間なのか、それとも人間はもうとっくに絶滅して見たことのない生き物なのか…鍾乳洞の中では空想がふくらみます。
2014年4月27日日曜日
ミルク色の岩
2014年4月11日金曜日
巨大すりばち
(南イタリアプーリア州・アルタムーラ)
先月末から今月にかけて、初めてイタリアへ行きました。
ボローニャブックフェアで、お世話になっているオーストリアの出版社の方と
ゆっくり会い、お食事する目的を果たしたその後、南イタリアへ足をのばしました。
私はヨーロッパであまり怖い思いをしたことがないので、南イタリアは絶対に気を引き締めて!と何度も友人に釘を刺されました。
言われた通り貴重品はしっかり身に付け、かばんのファスナーは忘れず、かなり気合を入れました。独りで電車やバスを待つ時、ゴルゴ13のように背中は必ず壁につけて立っていました。
鉄道のストライキで大慌てしたり、子どもを連れて物乞いをする人々にはやりきれない気持ちを抱きましたが、結果的に怖い思いはせずに旅を終えることができました。
いろいろ心に残った景色があります。アルベロベッロの小人の集落みたいな風景、カプリ島の鮮やかな海の色。マテーラの歴史が塗り込められた洞窟の白い街など…。
でも、一枚選んだ写真は上の場所でした。
プーロと呼ばれる石灰岩特有のすり鉢型陥没です。カルスト地形のドリーネと同じもののようですが、規模がものすごい…直径550メートル、深さ92メートルだそうです!
カメラにとても収めきれない広さで、ごっそり陥没していました。
石灰岩の空洞だらけの地形なので、地下へ地上が落ちこんだだけであると言われればそれまでなのですが、私はいつもこうした地形に何故か心をひきつけられます。
迷宮のような鍾乳洞がある時突然凹み、地上と地下が合体した場所。目に見えない巨大隕石が落下して凹んだようにも思えます。
2014年3月11日火曜日
ラジオの声
(凍る田にうつむくタゲリ)
テレビをあまり見ないのですが、ラジオをよく聴きます。
聴きながら絵や文をつくっているので、コメンテーターの方には悪いのですが、なるべく語りが少なく音楽要素が多い番組をハシゴしています。
3年前の今頃もラジオを聴いていました。震災時の停電でテレビはもちろん、パソコンもつながらなくなっていました。ラジオだけが、現在自分たちをとりまく状況を報せてくれました。あの夜にロウソクの灯りの中で聴いたラジオは、忘れられません。
次々と明らかになる被害状況。その合間に、ある海岸で、たくさんの方の姿が上空からみとめられるという緊迫した実況。聴きながら自分自身もロウソクも余震に揺れていました。
そんな恐ろしいことが現在起きているというのを信じたくありませんでした。
「今の報道は間違いでした」という訂正がされないか、そんな思いで聴き続けていました。
悪い夢なんだ、きっと誤報だったんだ、と思いながら眠れずに聴いていた、ラジオの声をよく思い出します。
2014年2月15日土曜日
1年前とかわったこと
(氷の国の円い窓)
庭のお墓の上に、今年もチューリップの芽が顔をだしつつあります。
一年前、交通事故で命を落としていた白黒の野良猫さんがねむっている場所です。
そのおとなりには、先日交通事故で路肩で命を落としていた野鳥・アオジさんも
眠っています。雪が降る前の凍るような北風に、普段はよけられる車を避けられず、
衝突したのかもしれません。
相変らずその道は、猛スピードで走り抜ける車が多いですが、
一年前に比べると変わった点が一つあります。
歩行者用の信号機が新しく出来ました。
歩行者がボタンを押さない限り車は走り続けるのですが、
信号機があるのとないのでは、運転者の心構えは多少ちがうかなと思います。
実際のデータはわかりませんが、少なくとも私が事故を目撃するのは減りました。
信号機を作ってくださって、感謝です。
一年前と比べ、良いほうへ変わったことを探してみました。
もちろん悪いほうへ変わったこともありますが、良いことも、
小さなことなら結構見つかりました。
良いことあった?と聞かれて、ぱっと思い出せる気持ちでいられればいいなあと思います。
2014年2月3日月曜日
霧の中のオニ
2014年1月20日月曜日
震災で消えた小さな命展・・・26
埼玉県ふじみの市産業文化センターで行われた小さな命展へ行ってきました。
絵になった動物たちは現在飼い主さんの元へ帰っていますが、
それを写真パネルにした展示で、大切な命の話を伝えている
展覧会です。
複製写真の命展を見るのは、今回初めてです。
作家一人ひとりが心をこめた絵画とはちがうものでしょうけれど、
丁寧に複製していただいた写真から、命展のメッセージが強く感じられます。
動物たちが人間と同じように災害から避難することが、
ごくあたりまえの常識になってくれるのを願う気持ちは、
うささんの講演と、会場に並んだ写真から伝わったのではと思いました。
ふじみ野市主催の「東日本大震災チャリティーコンサート」と同時開催だったので、
会場おとなりのホールからは、次々に音楽や歌が聞こえてくるのでした。
唱歌・オペラ歌曲・吹奏楽演奏など様々でしたが、みなさん心をこめた発表で、観に来る方も楽しみにしているようでした。
ホールへ歌や演奏を聴きに訪れた方たちが、偶然小さな命展開催を知って立ち寄り、
「こんな素晴らしい展覧会まで見られて、今日は幸運でした。」と言ってくださいました。
屋外は凍るような強風でしたが、イベントの温かい雰囲気で、
会場はとても心地良い空間でした。