2012年12月11日火曜日

大好きな丸いもの④



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先週末、この冬初めて雪のある場所へ出かけてきました。
群馬県の万座温泉です。


 スキーシーズン直前の閑散期だったので、静かな湯治旅館で
ゆっくりとお湯につかることが出来ました。
雪で覆われた地面をそっと歩き、
白銀の山々を眺める楽しみも味わいました。
写真の丸いものは、草木が生えない温泉湧出地帯の
砂礫地に、強風で吹きつけた粉雪が創った模様です。

 
 母が福島の豪雪地帯出身のおかげで、私は幼い頃から
家屋の1階が埋まるほどの積雪を体験する機会に恵まれました。
雪に関する興味深い実体験もたくさん聞かせてもらって育ったので、
雪の美しさや楽しさだけでなく、つらさやおそろしさも心にしみつきました。
面白くてドキドキして何度も「その話して!」とせがんだ話が幾つかありました。
その中の一つ。
母が6歳の時、4歳年下の弟が食べる分の芋を、つい横取りしてしてしまいました。
戦後まもなくの、いつも空腹だった時代です。
消えた芋を不審に思い、祖母が母にたずねましたが、
幼い母は「オラ、しらね。」としらんぷり。
結局すぐに嘘はばれ、烈火の如く怒った祖母が
「うそつきは、絶対にゆるさねえんだぞ!」
と一喝し、母を野外の雪原へブーンと思いっきり放り投げたのでした。
二メートルほどの積雪の中へ母はスポンっと埋まりました。
真っ白な視界の中、どちらが上か下かもわからなくなり、とてつもない不安と後悔に包まれたそうです…。
きっと、どんなに泣き叫んでも、声は雪に吸いとられてひびかなかったでしょうね。その後どのくらいで、誰がたすけてくれたかは憶えていないようですが、母は、絶対ウソはつかないと心に誓って、今日まで正直者で生きていると胸をはるのでした。


 私も、あそびで雪の中へ倒れこみ、埋まってみたことがあります。
しんとしているのに、チリチリ…というかすかな音が
聞こえるような、不思議な空間でした。
雪原の丸い丘の上を、小人になって上り下りしたい気持ちで、
地面ギリギリにしゃがんで写真を撮ってみました。




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