2013年2月2日土曜日

凶器が走る道①



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(近所の畑 先週降った雪)
自宅から歩いて5分ほどの県道で、猫が命を落としていました。

 実は珍しいことじゃありません。田舎の県道は信号などほとんどなく、
夜間や早朝は恐ろしいスピードで車が走り抜け、夜の長い冬場は特に、
朝になって悲しい事故を目にすることが多いのです。
犠牲者のほとんどが、野良猫です。


 その日の早朝用があり、夜明け前の暗い車道へ出た私は、道路の中央線に横たわる白黒の毛を見つけました。
外傷が見当たらず、生きているかもしれない…私は道路中央で猫を抱き上げました。
温かかったので、気を失っているだけかも、と期待して路肩で様子を見ました。
 けれど、ほかほか温かい体なのに、猫の心臓はすでに止まっていました。
心臓の辺りをマッサージしましたが、かすかな音さえ立ててくれませんでした。
わずかな鼻血しか外傷がないのに、おそらく私が通りかかるほんのわずか前に、
命は消え去っていたのでした。

 
 その猫は、首輪の無い野良猫でした。もしかしてこの近所の誰かがかわいがって
探しているのではと思い、ちょうど路肩に広がる空き地にひとまず寝かせてあげました。
 仕事から帰った夕方。亡骸は誰にもひきとられず、朝は温かくて柔らかだった体が、
冷たくかたまっていました。
自宅へ連れ帰り、夜になってしまいましたが庭へ埋めました。



「飛び出す方が悪いよ、急ブレーキかけたらこっちが危険だろう。」
と言う人間がいますが、こうして路上で息絶えているのが人間だったら、
そんなことを言う人はいません。
「人と動物を一緒にされてもね…」
という人間がいますが、確かに人間は、凶器を持っている点で動物とはちがう生き物です。


 あと少しずつ、この道を走る車がスピードを落としてくれたら、ずいぶん事故も
減るでしょう。今日亡くなった命もケガですんだかも知れないのです。
 

 人間は、凶器を操る責任を肝に銘じ、この世界に暮らさなくてはならないと思います。




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