2012年11月3日土曜日

震災で消えた小さな命展…17



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10月22日まで山形県で展示されたのが東北では最後の展示になり、
現在、愛知県西尾市展示されています。
これからは、全国各地を巡っていくのですね。
被災されていない方たちの心にも、小さな命の声が届きますように。


 小さな命の声と書いて、久しぶりに思い出した作家がありました。
山形県高畠町出身の浜田広介という児童文学者。
「泣いた赤鬼」や「りゅうの目の涙」などが有名ですが、
その他にもたくさんの作品があるのをご存知でしょうか。
私が好きな作品は「みそさざい」「ある島のきつね」「花びらの旅」などです。


 児童文学の歴史において、浜田広介という人は
「子どもが退屈するものであり、子どものための文学ではない、
前時代のものだ。日本のアンデルセンなどと呼ばれるが、
アンデルセンになどとうてい及ばない。」
と酷評されることもあるそうです。

 
 確かに、子どもが面白いと思うというよりも、読んで聞かせる
大人が心にじんわりくる作品が多いのかも知れません。
でも、大人が読んで心にじんわりきたものは、子どもにも伝わるのでは
ないでしょうか。
 

 目に見えないほどかすかな存在や、歩いていると見過ごしてしまう
微小な命たちが、浜田広介のお話の中では暖かで優しい存在感を
そっと見せてくれるのです。
 ドラマチックではないけれど、ひっそりしたそのストーリーは、
子どもの頃に読んでもらってすぐに忘れたとしても、数十年経った
大人になって突然思い出すかもしれません。
「あれ、あの話、一体誰だったかな?」
「なんだかほっとした気がするけど、終わりはどうなったっけ?」
そんなふうに、物語のタネは数十年後に発芽するかもしれません。




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