2016年1月26日火曜日

妖怪パレード


  先日、國学院大学の博物館を訪れました。ちょうど『絵巻に見る神仏・怪異』という面白そうな企画展示中だったのです。
  上の写真は『百鬼夜行絵巻』のパンフレットを撮ったものですが、英訳名を読むとディズニーランドのパレードみたいに思えてしまいます。
 『付喪神絵巻』(つくも神)の妖怪たちは、捨てられた古い器物たちが精霊になりかわってパワーを持ち、やはりパレードしている場面が描かれていました。最終的には僧侶に退治されたり、諭されたりして成仏するとのこと。
 そういえば、私が小学生だった時の教科書に載っていた童話に、つくも神のような妖怪が出てきたのを思い出します。
「茂吉の猫」(松谷みよ子)です。
 捨てられて妖怪化した古道具たちが村はずれに集まり、村人の茂吉に飼われた猫に酒を運ばせて夜な夜な宴会を開いていますが、その企みが茂吉にばれてしまい、猫は追われて妖怪たちの巣へ逃げ帰ります。ばれたなら茂吉を亡き者にしてしまえ!と妖怪たちから責められ、そこで猫はなんともじーんとくる言葉で拒みます。
「おらやんだ。おら、茂吉好きだもの。」
この言葉があまりに印象的で、この話を憶えている方も多いのではないでしょうか。
 隠れて一部始終を見ていた茂吉に妖怪たちは正体を暴かれて散らされ、茂吉も猫も助かるという結末でした。
 身近にある道具たちは、散々人間に使われて長い年月を過ごすのですから、その役目を終えるときもちゃんと感謝して見送りたいです。神社だけでなくてトイレに神様がいるように、器物にもそれぞれ神様が宿るのかなと思っておつきあいしていれば、自然に大切に出来るのでしょう。 
 けれど、急な豪雨が上がった後、折れ曲がってゴミの山になっているビニール傘を見ると悲しい気分になります。
『ツカイステタタリガミ』なんていう妖魔が新たに出現しそうに思えます。

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