2019年3月31日日曜日

願わくば


 近所のお寺で桜を観ました。少しずつ色が異なる桜が咲き、とても美しい空間でした。
お寺なので花見の宴の喧騒もなく、食べ物の匂いであふれる屋台もなく、静かに花を観る事が出来ました。
 ずいぶん昔、若い頃、能の観賞に夢中だった時があり、その頃『西行桜』という作品を知りました。桜を愛する西行法師と、桜の精霊とのやりとりでストーリーが進む、幻想的な舞台だった記憶があります。
「願わくば 花のしたにて春死なむ その如月の望月のころ」という西行の和歌を知ったのもその頃でした。その歌の通りに、旧暦2月末、現在の3月下旬の満月のころ、桜の咲く寺で逝去した西行法師にあこがれた、若かりし私でした。まだ大切な命を見送った経験がなかった私が、あこがれた歌でした。私も、願わくば大好きな花の咲く頃に、命を終えたいなどと思っていた気がします。
  今の私はといえば…願わくば、私が今守っている大切な存在たちが健やかに長く生き、おだやかに見送ることができますように、自分はその役目をしっかり終えてから旅立てますように…どんな季節でもかまいませんから!といった感じです。

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