2024年11月30日土曜日

北風の思い出

 

 (早足の夕暮れ・南房総の海岸で)
 二十四節気の『小雪』は知っていましたが、更に七十二候に分けられ、今の時期が『朔風払葉(北風木の葉を払う)』と呼ばれることを最近知りました。北風には朔風という名もあるのですね。
 文字を見るだけでも寒さを感じるそんな11月末、毎年思い出す出来事があります。20年以上前になりますが、東京都内の閉鎖されたゴルフ練習場で、野良うさぎを保護した日のこと。川沿いのサイクリング道を通って自転車通勤していた私は、落ち葉の吹き溜まりで紅葉した桜の葉を食べるうさぎと会いました。ゴルフ練習場敷地内の社員寮で飼育されていたそのうさぎは、引っ越し先へ連れて行ってもらえず、置いていかれたのでした。いずれ解体・再造成工事の始まるその場所に居続けることはできません。現場作業の方に協力して頂いて捕獲し、私は背中のリュックに入れて連れ帰りました。
 恐怖と緊張なのか、私の背でかたまっていたうさぎは、片道40分ほどのサイクリング中一度だけリュック内でガサゴソッと動きました。ラビットフードを購入しに寄ったペットショップ内です。
 その時、陳列棚に生体販売されていた毛足の長いうさぎとチンチラが、私のリュックを凝視していました。どんな想いが交錯していたかわかりませんが、勝手に想像しました。
ーアナタ アタラシイイエニ イクトコロ?
ーワカラナイ デモ トテモコワイヨ 
 20年以上経た今も、彼らの瞳と背中の重みが忘れられません。北風が吹き荒れる晩秋の思い出です。


2024年11月16日土曜日

るすばんねこ 95

 

 昨日までの『大阪個展』に出かけていたうささん宅で、お留守番していたニャアコちゃん。急な冷込みで、カマクラ内に暖かめの冬用フリースが敷かれました。フリースの匂いを念入りに嗅いでいるニャアコちゃん。洗ったとはいえ、生き物の匂いはニャアコちゃんだけのはずですが、やはり一年ぶりですからそう簡単に安心できないのでしょう。時間をかけて納得してから、ようやく落ちつきました。
 ストーブ設置の都合上、少しずつずらさなくてはならない家具の配置も、ニャアコちゃんは見逃しません。5センチ以内の距離変化にも気づき、何度も点検するのでした。ニャアコちゃん、きっと「間違い探し」が大得意ですね…。
 たかぎ家の猫・マーブルは、リビングの衣替えにほぼ無頓着。一年ぶりに出てきたホットカーペットや炬燵布団に、すぐにごろんとくつろいでいました。「間違い探し」不得意なタイプでしょうか…。
 ストーブやカーペットと入れ替わりに収納されて行く夏の物たち。
また来年の夏も変わらず、今いる子たちと元気に再会してくれますように!
毎年、季節の変わり目はそう願っています。