2025年5月15日木曜日

日が落ちた後

 

 満月を1日過ぎた月が水田に光を落としながら昇っていた夜。近隣の市街地にあるコンビニエンスストアで強盗未遂事件があったので、戸締まりなど強化するようにと通知がありました。犯人は捕まっていないとのこと。
 こんな時思い出すのが、黄昏の元となったたそかれ(誰そ彼)という言葉です。日没後の薄暗い路を、向こうから近づいてくる人影。今と異なり、体格が分かりにくいごわごわした衣服に身を包んだ誰かわからない人物…。あらゆる所に照明が灯る現代でも、事件があったこんな日は怖い時間です。
 同じく日没後を指す「逢魔が時」は更に怖さアップ…見知らぬ人も不審者も、鬼も悪魔も混ざるかもしれない時間。いつもより戸締まりを厳重にして過ごす日々です。

2025年4月30日水曜日

つづく命

 
 牡丹という花。昔、どこかの牡丹庭園で眺めて以来、実はあまり好きではありませんでした。派手で、奇妙に頭でっかちみたいで、花びらもゴテゴテと重そうで…。そんな印象を持ち続けていた花ですが、庭に咲くこの白牡丹と出会い、好きになりました。
 今は亡き祖父母宅の庭から分けていただいて根付いたもので、祖母も咲くのを楽しみにしていたと聞いています。雪国の福島県奥会津地方から遠く離れた暖地の庭で、毎年ではありませんがこうして花を開いてくれます。
 25年も前に旅立った祖母が見ていた、牡丹の花の子孫。形あるものは滅び去りますが、こんなふうに継いでいってくれる命もありました。にぎやかに春の色があふれる庭の一角、一輪だけ大きく開く白い花を観ていると、そこだけ静かな空気に感じます。

2025年4月15日火曜日

見えない山と谷

  

 庭に芝桜や小さな水仙が咲きました。20度を超える日中の陽気に、眩しい陽を浴びています。しかし、早朝の気温は7度!大変な温度変化です。
 気温が激しく変化するということは、気圧も同様。私は鈍感が幸いして全く平気なのですが、気圧変化に敏感な方は、呼吸器系の疾患や頭痛などいろいろ苦労されていると聞きました。
 天気図の等圧線は山の等高線そっくりですから、標高差が厳しい山岳地帯を短時間で移動していくようなものだとしたら、まさに過酷です。
 人間だけでなく、動物も。そして植物も。

 現在、私の周囲には持病と必死に闘っている命が複数います。
 どうか、早くおだやかな気温と気圧に落ち着いて、彼らの命が脅かされませんように。

2025年3月31日月曜日

旅立ち先

  

 去年の夏からこの冬が終わるまでの間、 とても大切な命をいくつも見送りました。
  本当に永遠のテーマですが…魂は旅立ったらどこに行くのでしょうね。
 以下は勝手に私が思いこんでいる事。
 人間の魂は相当汚れてしまっているので、真っ白で生まれ変わるために洗浄する期間が必要。汚れる前になくなってしまった人間や動物達は、洗浄 期間がほぼ必要ないので、すぐに生まれ変われる気がします。もちろん、生まれ変わりを望めばの話ですが。
 生まれ変わるまでの間、魂がどこにいるのか … そればかりは当事者になってみないと分からないですが、無宗教の私は、天国でもあの世でもなく、自分の周りにいてくれるのではないかと思っています。時折は、世界中を軽やかにワープしながら。
 そんな魂を思いながら上の写真の物語をつくり、Webサイトにのせました。お時間がある時、読んでいただけると嬉しいです。
(絵はうささんからお借りして掲載。)
https://novel.daysneo.com/works/c1395b259e0378ccf3eeb256f74c7af7.html

2025年3月15日土曜日

花びらの染み

  

 東日本大震災が起こった3月の初旬は、暖地のこちらは写真のように早咲き桜や菜の花が満開で、春と冬が入れ替わりつつある時期でした。東北地方は桜どころかまだ冬の装いで、寒さに凍える日々だったでしょう。
 毎年震災で消えた命を想いながら、桜を見ると思い出すことがあります。災害で消えた小さな命展の申し込み受付をしていた時、ある被災者の方からのお手紙の中に書いてあった一文です。
 「…桜の花が咲いているのを見ても、その花びら一つ一つに茶色いしみがついているようで美しさを感じられず…。」そういった内容でした。
 大津波が、大切な命や大地を泥の海にして押し流していくのを、目の当たりにしてしまった被災者の方達。心に染みついた傷が花びらに映っていたのかもしれません。想像しても足りない悲しみの染み。毎年、薄らいでくれますよう祈るしかできません。


2025年2月28日金曜日

お花のまんじゅう

  

 庭の片隅に、老母が育てているふきのとうが顔を出しています。北側の日陰で、まだまだ小さく硬いつぼみばかりです。
 田島征三氏の絵本『ふきまんぶく』を思い出しました。夏の夜、ふきの葉のそばで眠った女の子がふきたちと楽しく遊び、春に芽吹いたたくさんのふきのとうと再会する、そんなお話でした。絵のインパクトもすごかったのですが、まんぶく(西多摩日の出村の方言)という言葉が饅頭という意味と聞いたことが強く心に残っています。
 ふきのとうとお饅頭?…二つが結びつかなかった子ども時代の私が『おしくらまんじゅう』というおなじみの遊びでピーン!と一致したのでした。
 寒空の下、小さな花たちがキュッとおしくらまんじゅうのように身を寄せ合っていたふきのとう。今週の春めいた陽気で少しふくらんでくれましたが、週明けはまた寒さが戻るらしいので油断できません。

2025年2月16日日曜日

灯りの下

 


 諸事情で遠出できない状況の最近。私はご近所探索を楽しんでいます。

写真はよく海を眺めに行く本須賀海水浴場のヤシの木。(フェニックスという種類でしょうか?)

 昨日は素敵なカフェ『nam cafe and camp』を友人からききました。手作りのデザートや飲み物がとても美味しく、室内には不思議なナニカが潜んでいそうな空間だそうです。数えきれないほど通過している道路沿いにあるお店なのに、一度も目に止めたことがなかったのが驚きです。前回の記事に引き続き、Googlemapでの発見でした。

 旅行先では、地元の方も知らないような穴場を発見することもある私なのに、自分の住み家近くではアンテナが鈍いようです。

 灯台元暗し…にプラスして、灯りのすぐ下の暗がりも照らして見よう!と思う近頃です。